カスタマー・カーボン・フットプリント・ツールがロケーションベースの排出量を含むようになりました
はじめに
昨今、企業は持続可能なビジネス運営に向けての取り組みが求められており、その一環として自社のカーボンフットプリントを正確に把握することが重要視されています。AWSでは、こうした持続可能な目標達成を支援するために、新たにロケーションベースの排出量計測機能をCustomer Carbon Footprint Toolに追加しました。このアップデートにより、AWSユーザーはクラウド利用に伴う排出量をより詳細に把握し、最適化に役立てることができるようになります。
概要
AWS Customer Carbon Footprint Tool (CCFT) は、企業が自社のクラウドサービス利用に伴うカーボンフットプリントを測定するためのツールです。今回のアップデートにより、このツールには従来のマーケットベースの方法 (MBM) に加えて、新たにロケーションベースの方法 (LBM) で計測された排出量が表示されるようになりました。さらに、CloudFrontのサービス利用による推定排出量もEC2やS3の利用に伴う排出量とともに可視化できます。
詳細解説
ロケーションベースの排出量(LBM)の概要
ロケーションベースの排出量 (LBM) は、エネルギー消費が発生する電力網の平均排出強度に基づいて計算されます。世界各地の電力網は、石炭などの炭素集約型燃料から、太陽光のような再生可能エネルギーに至るまで、さまざまな電力源を使用しています。LBMを採用することにより、AWSユーザーは自社のクラウド利用により正確に対応する月間排出量のトレンドを視覚化・検証でき、AWSデータセンターが運用されている電力網の炭素強度についての洞察を得ることが可能となります。
マーケットベースの排出量(MBM)の概要
マーケットベースの方法 (MBM) は、企業が購入可能な再生可能エネルギー証書 (RECs) など、市場で取引可能なインストルメンツを基にした排出量の評価方法です。この方法では、再生可能エネルギーの利用を通じて実際の排出量削減を反映することができます。
サービス別の排出量の詳細把握
新たな機能強化により、AWSユーザーはCloudFrontを含む個々のサービス単位での排出量を確認できるようになりました。これにより、各サービスの利用が環境に与える影響を詳細に把握し、必要に応じて使用方法を最適化するためのデータが得られます。
利用用途・ユースケース
– 企業が持続可能なエネルギー利用の評価と最適化を行うためのツールとして。
– 環境報告及び持続可能性目標の達成度のモニタリング。
– 部門ごとのクラウド利用に基づいた環境負荷の比較分析。
メリット・デメリット
- メリット: より詳細かつ正確な排出量データの取得が可能になり、持続可能性の向上に寄与。
- メリット: クラウド利用の最適化によるコスト削減にもつながる可能性。
- デメリット: 詳細なデータ分析には一定の学習コストが生じる可能性。
- デメリット: 一部のユーザーにとって、新たな方法論の理解が困難である可能性。
まとめ
今回AWSがCustomer Carbon Footprint Toolに加えたロケーションベースの排出量計測機能は、企業がクラウド利用における持続可能性目標を達成するための重要な手段を提供します。これにより、ユーザーは自社の排出量をより正確に把握し、AWSが提供する幅広いデータを活用することで、電力網の炭素強度に基づいた最適化を実現することが可能です。この新機能を活用することにより、企業の持続可能性戦略を一層進化させることができるでしょう。
考察
ロケーションベースの排出量機能の追加は、AWSユーザーに対してクラウド利用の持続可能性を向上させる新たな手段を提供します。この機能は、企業がよりインフォームドな決定を下すためのデータを提供し、各国・地域におけるエネルギー使用特性に基づいた、より現実的な排出量計測を可能にします。リソース管理の最適化や持続可能性の向上に向けた具体的なステップを講じられるため、今後はさらに多くの企業がこのツールを採用することが期待されます。
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